ソフカット・システム(SOFF-CUT)

工法紹介とは

ソフカット・システムとは
コンクリート製のスラブ(土間コンクリート等)のひび割れ(以後"クラック")を誘発するためのカッター目地(切削目地)を切るために開発された専用コンクリートカッターを用いて目地を切削する「クラックコントロール工法」です。

土間コンのクラック防止
一般的には「生コン自体」「生コンの打設法」「生コンの養生」という材料に関係する工夫と、「目地を設ける」「下地の検討」「配筋を考慮」という材料以外 の工夫に大別できます。もちろん、どちらか一方だけに力を注いだとしても良い結果は生まれません。さて、ここでは「目地を設ける」という分野に限ってご説 明しましょう。

目地の種類
ここでいう「目地」とは、広範囲に打設する土間コンクリートを数㎡の大きさに細かく分断する「仕切り」のことを指します。例えば、10m×10mという真 四角な敷地に土間コンを打設した100平米の駐車場。そのままでは確実にクラックだらけになりそうですね。そこで例えば目地を十文字に入れると、分断された 一つのスパンは5m×5mの25平米の土間コンになり、クラックが発生する可能性はグッと減ることになるわけです。


この「目地」ですが、コンクリート打設前に設けるタイプと、打設後に設けるタイプに大別できます。打設前に設けるタイプは、一般的には伸縮目地と呼ばれるタイプが使用されます。現場では「エラスタイト」「エラス」と呼ばれることが多い目地材です。(実際のエラスタイトは瀝青質というアスファルトを主成分として、どちらかといえば土木向きの商品)

通常、土間コンの目地として使用される伸縮目地は、発泡樹脂の板状部材と、目地自体を保護する樹脂製カバーをかぶせたものを事前にモルタルで仮固定してか ら打設することになります。昔ながらの杉板をそのまま目地材として使用する場合もありますが、長所も短所もほぼ同様です。

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長所は、

  • 土間コンを完全に分断できるため、クラックの低減に効果が高い。
逆に短所は、
  • 事前にモルタルで固定する手間がかかり、コストアップを招く。
  • 打設時はすべての目地がヤクモノとなり、仕上げの手間がかかる。
  • 生コンや圧送配管により破壊や曲がりが起きやすい。
  • 経年変化で目地材が破壊すると補修が困難。
優れたクラック低減効果を持つものの、短所が目立つために最近ではあまり使用されなくなってきました。

コンクリート打設後に設ける目地の代表はカッター目地と呼ばれるタイプになります。コンクリート用のカッターで表面にスジを切り込み目地を設け、その目地にクラックを誘発するという狙いから「誘発目地」とも呼ばれます。

ソフカット工法は、この誘発目地工法のなかの一工法ということになります。

ソフカット・システムの原理
床 面に流された土間コンは、型枠内に流されるコンクリートと比較して、体積の割りに表面積が極端に大きいことが特長です。つまり、水分の蒸発が激しいという ことなのです。早く乾いて便利だろうという見方もあります。ところがコンクリートにとっては急激な乾燥はもっとも苦手な仕打ちなのです。なぜなら、急激に 乾燥すればするほど縮んでしまうのです。多少縮んでも問題はなかろうですって。確かに数㎡の小面積であれば、それも縮むだけならそれほど問題にはならない かもしれません。しかし、小さくても20~30㎡。大型現場では一度に2,000㎡以上も打設することもあります。大面積のコンクリートが縮むとどうなる と思いますか? そうです。バリバリにひび割れが発生してしまうのです。土間コン自体の重さがあるので、平均して縮むこともできませんし、さらには鉄筋や 柱、排水溝や電線などの邪魔者が散乱している状態では、それらがひび割れの引き金となり、ますます割れてしまうのです。そもそもコンクリートは、圧縮に対 してはめっぽう強い性質を持っているのですが、引っ張られる力にはほとんど耐えることができないのです。(この引っ張りに耐える力のことを引張力といいま す)

つまり、コンクリートは、自分自身が縮むことにより、自分の身体のなかでもっとも引っ張りに弱い部分でひび割れを起こしてしまうことになります。
ソフカット・システムは、縮むまえの段階で「弱い部分」よりもさらに弱い箇所を「目地」という形で作り出してしまうのです。

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完全な誘発目地を目指して
様々な要素が影響を与える収縮ひび割れですが、以下のポイントを押さえることによりかなりの確率で「ノークラック土間」を施工することができます。

①良質なコンクリートの使用と適切な施工
②十分な養生
③適切なリードカットの施工


①および②は、各建設会社や設計事務所、公的機関で標準仕様が定められている工法に従って施工をしていただきますので割愛します。

③リードカットのポイントについて


リードカット工法のポイントは大きく分けると
    ◎カットタイミング
    ◎カッティングレイアウト
    ◎目地間隔
   
以上の3要素から成り立ちます。それぞれのポイントを解説します。

①カットタイミング
最も重要なポイントが、「いつ」切削するかということです。SOFF-CUTの製造元「SOFF-CUT INTERNATIONAL社」では、コンクリートの仕上げ後2~5時間としていますが、この数字をそのまま日本国内に当てはめることは出来ません。理由としてはいくつかが考えられますが、「米国のコンクリート作業の機械化が進んでいる」ということがあげられます。このことにより、日本では使用しないようなスランプ値のコンクリートを打設する事が可能。また、圧送時のポンプ車の能力も非常に強く、一桁台のスランプでもパワフルに圧送する事が可能です。また、仕上げにおいても騎乗式パワートロウェル等を多用することにより、日本国内で一般的に仕上げている段階よりもかなり強度があがった状態で最終押さえを行うので、同じ「仕上げ後2時間」でも強度はまったく違います。また、もう一つの理由としては「ケミカル製品の多用」があげられます。特にコンクリートの硬化に時間がかかるような季節においては、各種混和材を使用し、強度の発現を促進することが一般的で、日本国内のコンクリートと比べて仕上げるまでの時間が短いことがあげられます。

 そこで、圧縮強度で「カッティングタイミング」を測ることが重要となります。計測器としては、一般的にコンクリートの圧縮強度の測定に用いられるシュミット式ハンマーでは計測範囲外となるので、「超弱材令用ハンマー」が必要となります。これは、図1のようにハンマー部を振り子のように円弧を描きながら計測面にたたきつけ、その反発力の度合いによって圧縮強度を測定します。

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具体的には、約10㎏/㎝2から施工が可能です。10㎏/㎝2というとほぼ「凝結硬化の終結時間」に匹敵し、平坦なゴム底の靴で慎重に歩行が可能な強度です。このタイミングで切削を行うと、「乾燥収縮の進行はなく」「粉塵も発生しない」という理想的なタイミングとなります。しかし、現場で打設したコンクリートは工場製品とは違い、様々な要素が絡み合い、仮に測定個所が切削可能なまでに硬化していても、すべての箇所が十分であるとはいえません。また、10㎏/㎝2前後では、ほんの僅かのミスが、仕上げ面に傷を付ける危険性が高いので、約35㎏/㎝2程まで硬化した以降がもっとも適した圧縮強度といえます。


図 1

 

また、SOFF-CUTは弱材令切削専用に設計されているので、圧縮強度が約110㎏/㎝2までの切削を想定しています。可能であれば110㎏/㎝2強度以上のコンクリートの切削は避けなければなりません。特に夏期等の、急激に強度が進行するような場合は、十分に余裕を持った施工体制を組むことが必要です。また、一般的には切削のベストタイミングが夜間に当たる場合には、近隣との協定、騒音対策、安全管理の面等の様々な制約により、翌朝からの作業となる場合が多いと思います。その場合、特に切削開始時点で既に強度の発現が進行しているので、より短時間に多くの切削が必要となるので、SOFF-CUTの台数や機種の選定が重要となります。

・羊羹、煎餅、切り餅。
作業員がSOFF-CUTで作業を行う上で、コンクリートが硬化する過程による変化に応じて対応することが重要となります。
①    羊羹状態
 通称“羊羹状態”と呼ばれている状態は、圧縮強度の目安は「約50㎏/㎝2」ほど。このタイミングで切削するのが理想的です。
②    煎餅状態
“羊羹状態”から水分が蒸発した状態。水分が蒸発したためにコンクリート表面の粘りがなく、切り口が欠けやすい状態です。急に“欠け”が発生する場合は、この“煎餅状態”の可能性があります。この場合は、作業を一時中断し、後述の“切り餅状態”まで待機することが必要です。
③ 切り餅状態
 ②の“煎餅状態”以降に、コンクリートの水和反応が進行し、強度が発生した状態。このタイミングだと、骨材同士の結合が強くなり、切削しても切り口が欠けにくくなります。
 ただし、煎餅状態は、コンクリートの配合や気候条件等により発生しない場合もあります。いずれにしても、コンクリートの硬化は諸条件により大幅に異なるので、一概に「○○時間後に切削」とか、「圧縮強度○○㎏/㎝2で切削するべき」などと断定するわけにはいきません。

②カッティングレイアウト
1.:平面図上の考え
リードカット工法のカッティングレイアウトの基本的な考え方は「よりスムーズに乾燥収縮を行う」ということです。本来であれば「乾燥収縮が起きないように」努力するべきですが、誘発目地のレイアウトに関しては全く逆の発想が必要となります。完璧なクラックコントロールとは、リードカット工法で設けた誘発目地の直下にひび割れが発生し、その他の場所にはひび割れが発生しない状態です。つまり、誘発目地以外の場所に(誘発目地よりも)「弱い場所を作らない」ということがポイントになります。では、どのような場所が弱い場所なのでしょうか。下図のような紙を矢印の方向に引っ張ると、よほど弱い紙でない限りは図2のように切れます。これは三角形の頂点が他の場所と比較して弱いために起こりますが、土間コンクリートも同様です。三角形の頂点が引き金となり、ひび割れが発生します。一般的には柱やピット、測溝等がこの三角形の頂点に相当します。これらの場所は必ずしも「誘発目地より弱い」とは限りませんが、弱くなる可能性が高いために十分に考慮する必要があります。


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また、図3のように、誘発した目地が、突然切れたり、直角に近い角度で曲がっていると、目地を無視してひび割れが発生しやすくなるので、30度の曲げ角度までに抑えるようにする必要があります。

図3
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柱周辺のレイアウト:今まで述べたように、柱は角部が乾燥収縮ひび割れ発生の引き金になりやすいのですが、それ以外にも駆体の動きをダイレクトに地盤や土間コンクリートに伝えることにより、構造的なひび割れを起こす原因になる可能性も高いといえます。そこで、より完璧なクラックコントロールを行う場合は、図4のように柱周辺部と土間コンクリートを別構造にすることが望ましいといえます。

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上図のように、柱周辺と土間コンクリートを分離する方法は、乾燥収縮によるクラックと構造的なクラックとを同時に防ぐ優れた工法といえますが、型枠施工の経費がかかるので、型枠部をカッター目地で代用した方法が図5です。いずれの場合も、地中のフーチンの上部に縁切りされた土間コンクリートがかぶるように設定することにより、土間コンクリートの陥没による目地部の段違いを防ぐことが出来ます。


コンクリート断面での考え方
 これまで述べたことはすべて平面上における「弱い場所」についてのレイアウトの仕方ですが、次に断面図上での「弱い場所」について考えてみましょう。


地中梁とレイアウトの関係
【図6】①図は、地中梁と土間コンクリートを同時施工する場合です。梁の中心部の真上に目地を通すと「最も強い場所」に目地を設けることになるので、段差部の上に2本レイアウトすることになります。しかし、②のように地中梁と土間コンとの(砂等を使用した絶縁層で)拘束を防ぐ構造の場合は中心の目地が有効に働くために図のようなレイアウトで対応できます。

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図7のように、コンクリート内に断面欠損を生じるようなものがあると、レイアウトを無視してひび割れが発生する率が高くなります。①は配管等が埋設されている場合、②は転圧路盤の精度が悪く段差が生じています。

 

左図は、コールドジョイントに発生したひび割れ図です。特に夏期の炎天下等の暑中コンクリート打設では、アジテーター車(生コン車)の連続打設が途切れたり、何らかのトラブルが起きて打設が中断した場合に自然発生的にコールドジョイントが生まれます。打設時間や練り混ぜ時間の差が硬化タイミングをずらすので、コンクリートが一体化せずに「縁切れ」を起こすことになります。このような場合も誘発目地を無視してひび割れが発生する原因となりやすいので注意が必要です。

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スラブ厚(コンクリート版厚)と目地間隔の関係

 

リードカットによる目地と目地の間隔は、レイアウトを行う上で非常に重要となります。

 図8は左方のタテ目地の間隔が4m、右方が5.5mとした場合に、図のようにひび割れが発生する例があります。これは、断面欠損やコールドジョイントのように目地を無視して発生するものとは異なり、目地自体は誘発していても発生することが特長です。これは、目地間隔が広すぎるために、目地が誘発を行っても収縮応力を逃がしきれずに、(ほぼ目時と目地の中間付近に)発生します。

 適切な目地間隔は、路盤の状況や収縮量、養生度合い、コンクリートの配合により異なるために、一概に算出することは無理がありますが、一つの目安として、スラブ厚により算出する方法が存在します。下図のように、スラブ厚の30倍の目地間隔を限度とする計算方法です。

 

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