スプレーシステム施工上の注意
工法紹介とは
スプレーシステム
コーティング・システム(以下スプレーシステム)の施工上の重要チェックポイントリストです。適切な施工を行い、スプレーシステムの魅力を十分に引き出していただきますよう、お願い申しあげます。
① スプレーシステムの施工面
スプレーシステムの施工面の基本は、「コンクリート(モルタルを含む)」面です。(その他の材質に施工をご検討いただく場合は、下記の「コンクリート以外への施工」をご覧ください。)ただし、コンクリート2次製品(平板、インターロッキングブロック等)には接着しますが、目地部分に動きが出るような場合はひび割れが発生します。
I. レイタンスが除去されていること。
新設のコンクリート面には程度の大小はありますが、必ずレイタンス層が存在します。これはコンクリート本体と違い、強度が弱い脆弱(ぜいじゃく)な成分で構成されています。そのために、いかに接着強度が強い建材を塗布しても剥離の原因になりやすいといえます。当然ですがスプレーシステムも、その例外ではありません。
レイタンス除去の方法はいくつかの工法が存在します。もっとも適切な工法で除去作業を行ってください。
○ ポリッシャーによる研磨作業
電動式のポリッシャーに、砥石(といし)盤またはワイヤーブラシアタッチメント、サンドペーパー等を取り付けて、コンクリート表面を研磨します。
不陸の多い施工面の場合は突起部分のみが研磨され、へこんだ部分のレイタンスが除去されないことがあります。このような施工面の場合はワイヤーブラシアタッチメントをご使用ください。また、新設のコンクリートで、打設直後のために水分が大量に含まれている場合は表面の研磨が行えないことがあります。そのような場合は"研磨作業"以外の方法で作業を行ってください。
○ 高圧洗浄による除去作業
高圧洗浄機を使用してレイタンスを取り除きます。不陸が多くても、まんべんなく除去できるために、とても有効な手段です。また、部分的な脆弱箇所も簡単に取り除くことができます。最低でも、170㎏/㎝2以上の水圧を利用してください。
○ 洗浄液による除去作業
インクリート洗浄液等の化学薬品で除去を行う方法。この方法もまんべんなく除去が行える優れた方法ですが、使用方法を誤ると脆弱層以外の健全な層まで犯してしまう可能性もありますので注意が必要です。
II. 油分、ほこり、泥等がないこと。
油分があると、スプレーシステムとコンクリート表面は接着しません。必ず除去する必要があります。脱脂方法は、工業用洗剤等を使用しますが、コンクリート内部まで浸透している場合は、ダイヤモンドサンダー等を利用して油分を含んでいる箇所をすべて削り取ってください。また、ホコリおよび泥も剥離の大きな原因です。必ず除去してから作業に入ります。
III. クラックを補修すること
極く微細なクラック(ひび割れ)を除き、ほとんどのクラックは"動き"があります。スプレーシステムの塗膜は、主成分がセメントを使用しているために、大変に優れた圧縮強度を誇りますが、宿命的に引張強度は劣る傾向があります。そのために、クラックの"動き"に追従しきれずにクラックが発生します。これを防ぐためには、事前の下地処理の段階で完全に補修を完了させておくことをお奨めします。
理想は、クラックの最深部まで樹脂を注入して、完全にクラックの"動き"を止めてしまう方法です。この方法が行えない場合は、せめて図のようにクラック上部をカッティングしてカチオン系下地調製材で補修を行って下さい。(この場合でもクラックに"動き"が生じた場合はスプレーシステムの塗膜は切れます。より効果的な補修方法としては、補修面にガラスクロスを張り付けるライニング工法を採用してください。詳細はお問い合わせください。)また、コンクリートがクラックにより完全に分断されている場合は、上記の方法で補修しても、「動き」をなくすことは不可能です。その場合は、エポキシ樹脂の注入工法のように、クラック内部を樹脂で固定してしまうことが必要です。また、その場合は、コンクリート版自体の動きを緩衝するための施工目地を別途設けることをお奨めします。
このように、クラックを完璧に防ぐ方法は困難ですので、コンクリート打設時に適切な目地処理を行うことが肝要です。
○ 誘発目地とスプレーシステム
前項でご説明した通り、"動き"があるクラックの上に施工する場合は、完璧な仕上げを行うことは困難ですが、これはスプレーシステムに限ったことではありません。たとえ磁器タイルでも下地が割れれば、剥離するか割れるかのいずれかの結果となります。つまりコンクリート打設時点での"手抜き"までを表面仕上げ材でカバーすることは無理があるということです。新設現場での施工では、是非その点を考慮して「適切な誘発目地の確保」をお奨めします。詳細は、「リードカット・ソフカットの資料」をご覧下さい。
コンクリート以外への施工
コンクリート以外の施工面に関しては、充分な調査が必要です。下記の表をご参考にしてください。詳細は弊社までお問い合わせください。
施工面の材質 接着性 備考
コンクリート金鏝仕上げ(かなごてしあげ) ○
コンクリート刷毛(はけ)引き仕上げ ○
コンクリート硬質床材仕上げ(カラーコンクリート等) △ 下地処理が必要(A参照)
アスファルトコンクリート面(既存) △ 調査・診断が必要(B参照)
アスファルトコンクリート面(新設) ×
鉄 △ 下地調整材が必要(C参照)
タイル面 △ 下地調整材が必要(C参照)
インターロッキングブロック ×
コンクリート平板 ○
エポキシ樹脂 △ 下地調整材が必要(C参照)
ポリウレタン樹脂 ×
Pタイル、長尺塩ビシート ×
ガラス △ 下地調整材が必要(C参照)
FRP樹脂 △ 調査中
A 硬質床材仕上げのコンクリート面への施工
耐磨耗性の向上のために"モノリシック工法"と呼ばれる硬質床材仕上げが施されたコンクリート面に施工する場合は注意が必要です。このタイプの床材は、表層が緻密(ちみつ)に仕上がっているために、スプレーシステムの樹脂成分が接着しにくい場合があります。もっとも適した工法は、ショットブラストや表面処理機で除去するか、表面を荒らして接着面を増やす方法です。予算の関係でこの方法が採れない場合は、"インクリート洗浄液"のような化学的な方法で表面を荒らす方法があります。(機械的除去に比べると接着力は劣ります)
B アスファルト面に対する施工
以下の条件内においては、問題のない施工が確認されています。
・ 打設後、すでに数年間がたち、表面の油分がなくなっている。
・ 夏期においても大きな温度変化がなく、安定している。
・ 舗装表面に粗骨材が表れている。
・ 通常の使用用途内では凹みが発生しない。
しかし、いずれの条件にしてもアスファルト面への施工はメーカー保証外ですので、充分な調査と試験を行ったうえ、慎重なご判断をお願いいたします。
C ガラス、鉄、タイル、エポキシ樹脂面に施工
これらの材質に直接スプレーシステムを施工することは避けなければなりません。施工する場合は、これらの材質に対する接着が保証されている下地調整材を施工してからスプレーシステム施工を行います。具体的にはカチオン系の下地調整材が該当します。詳細については下地調整材メーカーにお問い合わせください。
② ドライアウト防止
スプレーシステム・グラウト内には、セメント成分が含まれています。セメントは、ご存じのように水分と反応する(水和反応)ことにより固まるので、施工直後に急激に水分が奪われると水和反応のための水分が足りなくなります。急激な乾燥のために、充分な水和反応が行われない現象を「ドライアウト」と呼びます。
スプレーシステムをコンクリート表面に塗布した瞬間から、下地コンクリートにレジンウォーター(SSレジンと水道水の1対5の混合水)を吸われます。そのために「早い工期」になるために、スプレーシステムの長所の一つでもあるわけですが、条件によっては吸水力が強すぎて「ドライアウト」を引き起こす可能性があります。極端に吸水性が強い下地とは「多孔性」「乾燥」「高温」の条件が原因となります。
・ 多孔性.........コンクリート表面の微細な穴が多いコンクリートです。当然、緻密なコンクリートと比べると急激にレジンウォーターを吸い込みます。多孔性なる原因としては、コンクリートの配合とコテ押さえの方法、養生条件、仕上げ材の有無等々様々です。
対策
それほどひどくなければプライマーを複数回塗布することで極端な吸水は抑えることができます。極端な多孔性を持つ場合は、コンクリート強度の点でも心配ですので下地調整材で固めるか、浸透プライマー(市販品です。詳細はお問い合わせください)で固めてから施工を行います
・ 乾燥.........コンクリート内の含水率が低いコンクリートです。
・ 高温.........とくに夏期の炎天下などではかなりの高温となります。
対策
多孔性とこの二つが組合っていると、特に急激な吸水が起こります。水道水を施工面に散布することにより、湿潤状態を作り、熱を冷ますことが同時に行えます。注意点としては、コンクリートは蓄熱しますので、表面が冷めても内部は高温ですので、ある程度充分な時間をかけて冷やす必要があります。
以上の3項目のうち、どれか一つでも該当するのであれば「ドライアウト」防止のための措置を講じる必要があります。
③ 冬期の施工に関するご注意
吹き付けたスプレーシステムは、低温で凍結すると硬化不良を起こします。外気温が4~5℃以下の場所での施工は避けてください。また、施工後12時間以内に4~5℃以下に気温が下がる場所での施工も避けなければなりません。もし、施工する必要が生じた場合は、温風養生をするか、ガスバーナーで完全に水分を乾燥させる等の対策をとって下さい。
冬期の硬化が遅い時期の特長として、ワークスコートSSを塗布する前の段階で雨に降られると"白華"することがあります。(ワークスコートSSの塗布量が少ない場合や、夜露によっても起こります。)これは、SSレジンの中に含まれる乳化剤が、雨水によって塗膜内から表面に浮き出す現象です。乾燥後にワークスコートSSを再塗布することによって消すことができます。しかし、激しい白華はワークスコートSSの塗布によっても消えないので、ファーストコートおよびセカンドコートの塗布後にガスバーナー等で充分に乾燥させることが必要です。(ワークスコートSSを塗布した後には、絶対にガスバーナーをしないで下さい。)冬期の施工に関しての詳細は、弊社までお問い合せ下さい。
④ 夏期の施工に関するご注意
気温が高いときに施工する場合は、レジンウォーターとグラウトを混ぜ合わせた瞬間から急激な反応が起こり、可使時間が極端に短くなることがあります。これを極力防ぐため、施工材料(水道水を含む)が熱を持たない場所に置いてください。日陰がないような現場では、銀色の熱を反射するタイプのシートを被(かぶ)せるなどの工夫をしてください。また、このとき風の通り道をふさぐと無意味なので、材料とシートのすき間を確保してください。また、吹き付ける前に固まってしまうなど、極端に可使時間が短くなったら、少量のレジンウォーターを追加することにより、多少遅延することができます。(レジンウォーターの追加は1回に限ります)また、硬化時間を延ばすために氷をビニール袋に入れて密閉して、レジンウォーター内に入れて冷やす方法が効果的です。詳しい使い方は「取扱説明書」をご覧ください。
⑤ 交通開放までの養生期間
スプレーシステムは無機のセメント成分の硬化による強度が重要ですので、超速硬化ウレタンやMMA樹脂のように急激な強度の発現は不可能です。また、一般の合成樹脂を主成分とするエポキシ樹脂やポリウレタン樹脂と比べても交通解放のタイミングは遅めに見積もる必要があります。軽歩行であればスーパーシールの塗布後2~3時間後には可能ですが、わずかな衝撃で破壊される可能性があるので、12時間ほどの養生期間を設けてください。また、冬期には24時間の養生期間を設ける必要があります。重量物を設置したりする場合は48時間以上の期間を設けてください。
車両の通行を安心して行える養生期間は5~7日間です。ここまで養生期間を確保できないで、やむをえず車両が通行する場合は急発進、急停止、ハンドルの据えきりを避ける等の注意が必要です。また、コンクリートパネル板等で被覆するなどの万全の対策を施してください。
① スプレーシステムの施工面
スプレーシステムの施工面の基本は、「コンクリート(モルタルを含む)」面です。(その他の材質に施工をご検討いただく場合は、下記の「コンクリート以外への施工」をご覧ください。)ただし、コンクリート2次製品(平板、インターロッキングブロック等)には接着しますが、目地部分に動きが出るような場合はひび割れが発生します。
I. レイタンスが除去されていること。
新設のコンクリート面には程度の大小はありますが、必ずレイタンス層が存在します。これはコンクリート本体と違い、強度が弱い脆弱(ぜいじゃく)な成分で構成されています。そのために、いかに接着強度が強い建材を塗布しても剥離の原因になりやすいといえます。当然ですがスプレーシステムも、その例外ではありません。
レイタンス除去の方法はいくつかの工法が存在します。もっとも適切な工法で除去作業を行ってください。
○ ポリッシャーによる研磨作業
電動式のポリッシャーに、砥石(といし)盤またはワイヤーブラシアタッチメント、サンドペーパー等を取り付けて、コンクリート表面を研磨します。
不陸の多い施工面の場合は突起部分のみが研磨され、へこんだ部分のレイタンスが除去されないことがあります。このような施工面の場合はワイヤーブラシアタッチメントをご使用ください。また、新設のコンクリートで、打設直後のために水分が大量に含まれている場合は表面の研磨が行えないことがあります。そのような場合は"研磨作業"以外の方法で作業を行ってください。
○ 高圧洗浄による除去作業
高圧洗浄機を使用してレイタンスを取り除きます。不陸が多くても、まんべんなく除去できるために、とても有効な手段です。また、部分的な脆弱箇所も簡単に取り除くことができます。最低でも、170㎏/㎝2以上の水圧を利用してください。
○ 洗浄液による除去作業
インクリート洗浄液等の化学薬品で除去を行う方法。この方法もまんべんなく除去が行える優れた方法ですが、使用方法を誤ると脆弱層以外の健全な層まで犯してしまう可能性もありますので注意が必要です。
II. 油分、ほこり、泥等がないこと。
油分があると、スプレーシステムとコンクリート表面は接着しません。必ず除去する必要があります。脱脂方法は、工業用洗剤等を使用しますが、コンクリート内部まで浸透している場合は、ダイヤモンドサンダー等を利用して油分を含んでいる箇所をすべて削り取ってください。また、ホコリおよび泥も剥離の大きな原因です。必ず除去してから作業に入ります。
III. クラックを補修すること
極く微細なクラック(ひび割れ)を除き、ほとんどのクラックは"動き"があります。スプレーシステムの塗膜は、主成分がセメントを使用しているために、大変に優れた圧縮強度を誇りますが、宿命的に引張強度は劣る傾向があります。そのために、クラックの"動き"に追従しきれずにクラックが発生します。これを防ぐためには、事前の下地処理の段階で完全に補修を完了させておくことをお奨めします。
理想は、クラックの最深部まで樹脂を注入して、完全にクラックの"動き"を止めてしまう方法です。この方法が行えない場合は、せめて図のようにクラック上部をカッティングしてカチオン系下地調製材で補修を行って下さい。(この場合でもクラックに"動き"が生じた場合はスプレーシステムの塗膜は切れます。より効果的な補修方法としては、補修面にガラスクロスを張り付けるライニング工法を採用してください。詳細はお問い合わせください。)また、コンクリートがクラックにより完全に分断されている場合は、上記の方法で補修しても、「動き」をなくすことは不可能です。その場合は、エポキシ樹脂の注入工法のように、クラック内部を樹脂で固定してしまうことが必要です。また、その場合は、コンクリート版自体の動きを緩衝するための施工目地を別途設けることをお奨めします。
このように、クラックを完璧に防ぐ方法は困難ですので、コンクリート打設時に適切な目地処理を行うことが肝要です。
○ 誘発目地とスプレーシステム
前項でご説明した通り、"動き"があるクラックの上に施工する場合は、完璧な仕上げを行うことは困難ですが、これはスプレーシステムに限ったことではありません。たとえ磁器タイルでも下地が割れれば、剥離するか割れるかのいずれかの結果となります。つまりコンクリート打設時点での"手抜き"までを表面仕上げ材でカバーすることは無理があるということです。新設現場での施工では、是非その点を考慮して「適切な誘発目地の確保」をお奨めします。詳細は、「リードカット・ソフカットの資料」をご覧下さい。
コンクリート以外への施工
コンクリート以外の施工面に関しては、充分な調査が必要です。下記の表をご参考にしてください。詳細は弊社までお問い合わせください。
施工面の材質 接着性 備考
コンクリート金鏝仕上げ(かなごてしあげ) ○
コンクリート刷毛(はけ)引き仕上げ ○
コンクリート硬質床材仕上げ(カラーコンクリート等) △ 下地処理が必要(A参照)
アスファルトコンクリート面(既存) △ 調査・診断が必要(B参照)
アスファルトコンクリート面(新設) ×
鉄 △ 下地調整材が必要(C参照)
タイル面 △ 下地調整材が必要(C参照)
インターロッキングブロック ×
コンクリート平板 ○
エポキシ樹脂 △ 下地調整材が必要(C参照)
ポリウレタン樹脂 ×
Pタイル、長尺塩ビシート ×
ガラス △ 下地調整材が必要(C参照)
FRP樹脂 △ 調査中
A 硬質床材仕上げのコンクリート面への施工
耐磨耗性の向上のために"モノリシック工法"と呼ばれる硬質床材仕上げが施されたコンクリート面に施工する場合は注意が必要です。このタイプの床材は、表層が緻密(ちみつ)に仕上がっているために、スプレーシステムの樹脂成分が接着しにくい場合があります。もっとも適した工法は、ショットブラストや表面処理機で除去するか、表面を荒らして接着面を増やす方法です。予算の関係でこの方法が採れない場合は、"インクリート洗浄液"のような化学的な方法で表面を荒らす方法があります。(機械的除去に比べると接着力は劣ります)
B アスファルト面に対する施工
以下の条件内においては、問題のない施工が確認されています。
・ 打設後、すでに数年間がたち、表面の油分がなくなっている。
・ 夏期においても大きな温度変化がなく、安定している。
・ 舗装表面に粗骨材が表れている。
・ 通常の使用用途内では凹みが発生しない。
しかし、いずれの条件にしてもアスファルト面への施工はメーカー保証外ですので、充分な調査と試験を行ったうえ、慎重なご判断をお願いいたします。
C ガラス、鉄、タイル、エポキシ樹脂面に施工
これらの材質に直接スプレーシステムを施工することは避けなければなりません。施工する場合は、これらの材質に対する接着が保証されている下地調整材を施工してからスプレーシステム施工を行います。具体的にはカチオン系の下地調整材が該当します。詳細については下地調整材メーカーにお問い合わせください。
② ドライアウト防止
スプレーシステム・グラウト内には、セメント成分が含まれています。セメントは、ご存じのように水分と反応する(水和反応)ことにより固まるので、施工直後に急激に水分が奪われると水和反応のための水分が足りなくなります。急激な乾燥のために、充分な水和反応が行われない現象を「ドライアウト」と呼びます。
スプレーシステムをコンクリート表面に塗布した瞬間から、下地コンクリートにレジンウォーター(SSレジンと水道水の1対5の混合水)を吸われます。そのために「早い工期」になるために、スプレーシステムの長所の一つでもあるわけですが、条件によっては吸水力が強すぎて「ドライアウト」を引き起こす可能性があります。極端に吸水性が強い下地とは「多孔性」「乾燥」「高温」の条件が原因となります。
・ 多孔性.........コンクリート表面の微細な穴が多いコンクリートです。当然、緻密なコンクリートと比べると急激にレジンウォーターを吸い込みます。多孔性なる原因としては、コンクリートの配合とコテ押さえの方法、養生条件、仕上げ材の有無等々様々です。
対策
それほどひどくなければプライマーを複数回塗布することで極端な吸水は抑えることができます。極端な多孔性を持つ場合は、コンクリート強度の点でも心配ですので下地調整材で固めるか、浸透プライマー(市販品です。詳細はお問い合わせください)で固めてから施工を行います
・ 乾燥.........コンクリート内の含水率が低いコンクリートです。
・ 高温.........とくに夏期の炎天下などではかなりの高温となります。
対策
多孔性とこの二つが組合っていると、特に急激な吸水が起こります。水道水を施工面に散布することにより、湿潤状態を作り、熱を冷ますことが同時に行えます。注意点としては、コンクリートは蓄熱しますので、表面が冷めても内部は高温ですので、ある程度充分な時間をかけて冷やす必要があります。
以上の3項目のうち、どれか一つでも該当するのであれば「ドライアウト」防止のための措置を講じる必要があります。
③ 冬期の施工に関するご注意
吹き付けたスプレーシステムは、低温で凍結すると硬化不良を起こします。外気温が4~5℃以下の場所での施工は避けてください。また、施工後12時間以内に4~5℃以下に気温が下がる場所での施工も避けなければなりません。もし、施工する必要が生じた場合は、温風養生をするか、ガスバーナーで完全に水分を乾燥させる等の対策をとって下さい。
冬期の硬化が遅い時期の特長として、ワークスコートSSを塗布する前の段階で雨に降られると"白華"することがあります。(ワークスコートSSの塗布量が少ない場合や、夜露によっても起こります。)これは、SSレジンの中に含まれる乳化剤が、雨水によって塗膜内から表面に浮き出す現象です。乾燥後にワークスコートSSを再塗布することによって消すことができます。しかし、激しい白華はワークスコートSSの塗布によっても消えないので、ファーストコートおよびセカンドコートの塗布後にガスバーナー等で充分に乾燥させることが必要です。(ワークスコートSSを塗布した後には、絶対にガスバーナーをしないで下さい。)冬期の施工に関しての詳細は、弊社までお問い合せ下さい。
④ 夏期の施工に関するご注意
気温が高いときに施工する場合は、レジンウォーターとグラウトを混ぜ合わせた瞬間から急激な反応が起こり、可使時間が極端に短くなることがあります。これを極力防ぐため、施工材料(水道水を含む)が熱を持たない場所に置いてください。日陰がないような現場では、銀色の熱を反射するタイプのシートを被(かぶ)せるなどの工夫をしてください。また、このとき風の通り道をふさぐと無意味なので、材料とシートのすき間を確保してください。また、吹き付ける前に固まってしまうなど、極端に可使時間が短くなったら、少量のレジンウォーターを追加することにより、多少遅延することができます。(レジンウォーターの追加は1回に限ります)また、硬化時間を延ばすために氷をビニール袋に入れて密閉して、レジンウォーター内に入れて冷やす方法が効果的です。詳しい使い方は「取扱説明書」をご覧ください。
⑤ 交通開放までの養生期間
スプレーシステムは無機のセメント成分の硬化による強度が重要ですので、超速硬化ウレタンやMMA樹脂のように急激な強度の発現は不可能です。また、一般の合成樹脂を主成分とするエポキシ樹脂やポリウレタン樹脂と比べても交通解放のタイミングは遅めに見積もる必要があります。軽歩行であればスーパーシールの塗布後2~3時間後には可能ですが、わずかな衝撃で破壊される可能性があるので、12時間ほどの養生期間を設けてください。また、冬期には24時間の養生期間を設ける必要があります。重量物を設置したりする場合は48時間以上の期間を設けてください。
車両の通行を安心して行える養生期間は5~7日間です。ここまで養生期間を確保できないで、やむをえず車両が通行する場合は急発進、急停止、ハンドルの据えきりを避ける等の注意が必要です。また、コンクリートパネル板等で被覆するなどの万全の対策を施してください。