レイヤード施工例

レイヤード施工例

リフォームの時代

スタンプコンクリートはここ20年ほどで、テーマパークをはじめガレージや遊歩道、商業施設等、様々な場所で使われるようになりました。しかし、大半の使用例が生コンに施工した物件です。つまり生コンを新規に打設したときに型押し施工を行っています。これは、とても理にかなっている工法です。

例えばタイル仕上げにする場合は、タイルの下地として生コンを流して固めてからタイルを貼ります。どうせ生コンを打設するならば、そのコンクリート自体を美しく仕上げてしまえば効率が良いじゃないか!という合理的な発想から生まれたのがこの工法です。

しかし、生コンを打設することが当たり前なのは新築現場だけです。特に昨今は、圧倒的に新築物件数は減少し、リフォームの時代が来ることは明白です。はたしてリフォーム市場でスタンプコンクリートは活躍できるのでしょうか?

リフォームの時代が来ることは10年以上前から騒がれています。建材会社も建築会社も将来のリフォーム時代を睨んで商品開発に技術開発にと、しのぎを削って来ました。「新築そっくりさん」などといったコピーで、なるほど見違えるような変身を遂げるのが当たり前となりました。住宅会社も建材会社も、外壁・屋 根・システムキッチン・バスルーム・床暖房などには何億円もの予算をつぎ込むので当たり前の結果です。

ところが住宅外構、特にガレージやアプローチにはまったく手が入っていません。新築物件のように生まれ変わった我が家なのに、ガレージは、劣化して黒カビが生え、苔むして陰気さを発しているモルタルのままです。

施主さんは、業者さんに相談してみますが、プロの皆さんは、こんなガレージに塗装をしても剥がれてしまうことは百も承知ですから、お客様には何の提案もしません。こんなもんですよ、で終わったりします。

スタンプ工法とリフォームは相性が悪い?

もしスタンプコンクリートがリフォーム物件で使うことができたら、こだわりの施主様にとってはとても魅力的に映るはずです。生コンを新たに打設することは困難ですが、30㎜ほどモルタルを打ってスタンプコンクリートが施工できる方法が使えないでしょうか。ところが、すでに仕上がっている床面の上に30㎜も増し打ちしたら様々な問題が発生します。

例えば「ドアが開かない」「水が流れない」「段差が出来て危ない」等々弊害が並びます。せめて5〜10㎜厚であれば、それらの諸問題の多くが解決します。

しかし、話しは簡単ではありません。5㎜や10㎜といった薄層モルタルに型押しを行うには、クリアしなければならない課題が山積しています。下地との付着性に始まり、専門的な条件を備えた材料の開発が求められていました。セメントワークスも、かれこれ十年以上に渡って頭を悩ませてきたプロジェクトです。

専用モルタルの開発

そこでセメントワークスでは、薄く塗り付けた専用モルタルに型押しをするための、リフォーム専用のモルタル材料を開発することにしました。

既存のコンクリート土間のうえに、新たにモルタルを増し打ちするので、「層を重ねる」という意味からレイヤード工法と名付けました。ハイレベルな仕上がりを得るためには、専用に開発されたポリマーモルタルの使用が不可欠です。そこで、必要な性能目標を設定してから開発を開始。(現在は「ウルトラグラウト」の名称で販売されています)

 

レイヤード工法専用材料に求める性能とは

【付着性】「既存コンクリートと打設したモルタルとの強靱な接着」

この性能が低いと、剥がれたり割れたりという最悪の結果を招きます。最低でも1N/mm2。3N/mm2ほどの性能があれば理想的です。

 

【無収縮性】「打設したモルタルの乾燥収縮による”ひび割れ”の発生」

とくに現場配合・現場練りのモルタルは、「水・セメント比」「セメント・骨材比」等の厳密な管理も困難なため、収縮率が大きいモルタルを使用してしまいがちです。また、モルタル厚み(版厚)が極めて小さいために急激な乾燥を起きやすく、一般の生コンと比べても”ひび割れ”が発生する確率がとても大きくなります。

 

【スタンプ性】「型押し作業を行うための締まり具合」

モルタルを床面に塗り付けるだけの一般的なカナ鏝仕上げでは一切必要とされない性能ですが、スタンプ作業には「型押し作業を行うための締まり具合」がとても重要です。私達は「スタンプ性」と呼んでいます。モルタルは配合の違いから様々な特性が生まれます。内部が先にしまり表面の乾きが悪いタイプや、表面が先に乾いて内部が締まらないタイプなど、配合の違いから様々な特性が生じるのです。表面と内部がバランス良く徐々に締まるタイプであれば、スタンプ性は良好といえます。このバランスが狂ってしまうと極めて作業性が劣るのです。

 

【速乾性】「”中締まり”まで短時間で硬化するか」

特に低温時には硬化に著しく時間がかかることがあります。レイヤード工法は、比較的に小さな面積から施工が行われます。数㎡から20数㎡の小規模現場では、打設時間は短時間で終了しても、型押しまでの待ち時間が数時間もかかり、型押し終了までで一日仕事になりかねません。穏やかな硬化特性である「スタンプ性」と共に「速乾性」も大切なポイントになるのです。過去には、型押し作業まで8時間も待たなければいけない材料もありました。

 

【インテグラル着色】「カラーハードナ-を使用しない」

生コンを打設して行う一般的なスタンプコンクリートでは、カラーハードナ-(ワークスハードナー)と呼ばれるプレミックスのカラーモルタルを施工面に散布して着色を行います。これは、打設した10㎝以上の厚みがある生コン全体に着色を行うのは非効率なため、表層だけをカラーモルタル化してコストダウンを実現しています。しかし、最低厚さ5㎜から施工可能なレイヤード工法では、カラーハードナ-を散布・カナ鏝押さえを行って工程を増やすよりも、モルタル自体をカラー着色してしまう方が効率的です。これからのレイヤード工法には、モルタル自体を着色する”インテグラル方式”が主流となるでしょう。

 

【カービング性】「半硬化の状態で彫刻が行えるか」

型押し作業の後に、型と型の継ぎ目を補修したり、”押し”が甘い箇所に一手間を加えることで仕上がりに大きな差が出ます。ナイフやヘラ等を使用して、自在に手を加えることができるカービング性を持つ材料は、生コンを使用した通常のスタンプコンクリートを凌駕した仕上がりを得ることが出来ます。

 

【最低施工厚み】「薄層モルタルで十分な強度」

モルタル層の最低厚みは小さいほど、つまり薄く施工が可能な材料が有利です。10㎜厚と20㎜厚では僅か10㎜の差しかありませんが、材料の使用量は倍の差が生じます。この差が、施工費に及ぼす影響は大変に大きいため、いかに薄く施工できるかが重要な性能となります。(パターンマットの凹凸の大小にも影響されます)

 

これらの求められる各種性能を、一つや二つだけを突出して向上させることは意外に簡単です。ところが、すべての性能をバランス良く高めることは至難の業です。相反する性能の場合は、あちらを立てればこちらが立たずとなります。様々な樹脂を組み合わせてのトライアンドエラー。理屈道理には結果はでません。はたして、このまま実験を繰り返していて大丈夫なんだろうかと不安がよぎります。幸いなことに、ついに理想に近い材料が開発されました。 身も蓋もない言い方になりますが、偶然です。偶然の産物が予想外の好結果を生み出すものです。試行錯誤の末に常識と経験を覆す偶然というアイディアを元に開発された製品が「ウルトラグラウト」です。